観劇以外

あなぐま(anagmaram)別館。本館→https://anagmaram.hatenablog.com/

地元(福岡)が好き

という気持ちが盛り上がったので唐突にこっちのブログ書こ!


私の地元は福岡です。両親の血筋的には100%東北人だったり生まれた時は東京にいたりいろいろあるんですが、人生の大半の時間を過ごした街でありそもそも実家は今も福岡にあるので、「地元は福岡」といって差し支えないと思う。
学生の頃までを過ごしたので、思い入れという意味ではものすごく濃いものがある場所です。

福岡はいい街だよ、というのはまあ正直一般的にもよく言われることではありまして、単身赴任や出張で行きたい街としては札幌と並んでいつもトップだとか、それなりに魅力がある場所として全国的にも認識されているように思う。
そんな中で、住んでたからこその感傷をちょっとだけ書いてみる。



学生時代の私は「エコルカード」という、路線バスが学生限定・月額定額で乗り放題になるカードを使い、本当にどこまででもバスに乗って出かけたものでした。
ご存知の方もいるかもしれませんが、福岡、引くほど交通機関の中でバスが強いです。その名を西鉄バスという。奴は街の支配者と言っても過言ではない。
福岡市の繁華街・天神のど真ん中を貫く渡辺通りを高い位置から見下ろすと、バスが道にぎゅう詰めになっているその光景に笑いが出るほどです。西鉄バスに牛耳られた街であることが体感できて面白いので、福岡に行く機会がある人は、三越の9階あたりからぜひ試してみてほしい。

そんなバスに支配された街、福岡の中心部には、都市高速という高速道路が走っています。
一般の高速道路である九州自動車道から合流して、いつのまにか名前を変えるその道路は、略して「都市高(としこう)」と呼ばれています。
だから、上京してすぐは「首都高」って単語がどうしても言えなくて、代わりに都市高と言ってしまい伝わらずに、ひとりで恥ずかしい思いをしたことを覚えている。

その都市高は、天神の中心部から西側に向かって、海沿いに伸びています。そしてそこを、ふつうの路線バスであるところの西鉄バスも、当たり前にがんがん走っていくんです。面白いよね。バスが料金所を通って高速を走り、またしばらくしたら降りて一般道を走るんです。


私は、その都市高を走るバスから見る、福岡の海の眺めが大好きでした。
もちろん都市部に面している海なので、そうだなぁ…羽田空港に行く時に見える海の雰囲気なんかにちょっと近い。でもしばらくするとそこに突然人工の砂浜が登場したりもする(そのへんのエリアをシーサイドももちといいます)。
だから別に、めちゃくちゃに綺麗な「ザ・海!」って感じの景色では勿論ありません。

でも、びゅんびゅんとけっこうな速度で走るバスに乗って、高速道路の高い位置からぼんやりと、だだっ広い紺色の海を見下ろしていると、なんだかものすごく「自由」みたいなものを感じました。
真夏のぎらぎらに晴れた日なんかは特に。光を反射する波はチラチラと眩しく、上には空がどかーんと広がっていて。その景色を横目にぐんぐん飛ばして走るバス。
その時間はいつも、陳腐だけど、今すぐどこへでも行けそうな、果てしなく自由な気分になった。実際にはバスのシートにぎゅっと座って、そう遠くない場所へ行くだけなんだけど。


地元がとにかく大好きだった私が、就職のタイミングで福岡を出ることに決めたのは「今出ない限り、私は一生ここにいるだろう」と感じたからでした。
今を逃したら、好きすぎて今後絶対に出られなくなるだろうなと思った。だったらいっちょ、思いっきり若いうちに出ておくか!戻りたくなったらいつでも戻れるし、と。

そうしてえいやあと地元を離れて、私は東京で働き始めた。
正直、東京の全てが無理すぎた。
電車は混みすぎてて乗り方がわからないし人は歩くの速いし店員さんは無愛想だしご飯は高いくせに美味しくない。なにかしゃべるだけで博多弁が可愛いと言われてうっとおしい。会社の同期と仲良くしようとすると、九州の人はいきなり心の距離が近いよね、と苦笑いされたりした。
何もかもが全然楽しくない。3年くらいは、帰りたくて帰りたくて仕方なかった。
でも頻繁に福岡へ帰ってしまうと、もうそれこそ二度と東京でなんて暮らせなくなるんじゃないかと思って、無理して年に1回しか帰省をしないようにしていた。


福岡にはもちろん飛行機で帰ることになる。
羽田~福岡便の飛行機の着陸ルートは、西側の海から入っていくパターンと、東側の山の上から入っていくパターンの二通りがある。

ある年の帰省で、初めて西側の海からのルートを経験した。
ぎりぎり夕方と呼べるくらいの時間帯、徐々に薄闇に沈んでいく福岡の街。奥に広がる街並みの明かり。そして海沿いの高速道路の上に灯る、たくさんの自動車のテールランプ。
飛行機がその景色の中に向かって着陸していくその時間、むかしバスの中から見ていた景色を唐突に思い出して、なんとも言えない心持ちになった。
あぁ、帰ってきたんだなという喜びと、時間が経ったことを痛感したよくわからない感傷と。そのふたつがないまぜになった感情が、苦しいほどに胸のうちに湧いた。


学生時代、バスの中から海を眺めていた私は、べつにどこか遠くへ行きたいわけじゃなかったような気がする。
でもなんというか、たぶん「どこへでも行ける」って思えるその感情の動きこそが、自由を表していたんだろうなぁ、と思う。



上京したての頃みたいに、ヒリヒリした気持ちで「帰りたい」って思うことは、もうない。
だけど帰るといつだって、「ずっとここにいたいのに、なんで私はここを離れていくのかな?」と思う場所。
それが私にとっての地元、福岡です。
それくらい、福岡が好き*1

*1:このブログ「観劇以外」ってタイトルつけてるけど、くろステの大千秋楽、そんな大好きなまち福岡で、皆さんが素晴らしい時間を過ごせますように~!(結局言いたいことそれなんかーい)