赤い靴履いてた回遊魚
自分がものごとを取りまわせる範囲というか総量みたいなものを正確に見極めるのが、わたしは本当に苦手です。
純粋な経験値としてそろそろちゃんとわかってもいい歳だと思うのに、未だによくわからない。困ったものだ。
またしても、趣味の話をしています。
趣味に関しての自分の総合的な体力ゲージは、目盛りが度々おかしなことになってしまう…というか、目盛りが状況によって自由に伸び縮みするので、余力の判断が非常に困難になりがちである。
そうして「絶対に無理だと思ったが謎の馬鹿力が湧いてきてしまって、それでなんとかなってしまった」という成功体験を過去に相当数積み重ねてしまった結果、
自分の余力を見誤るケースがここ最近立て続いてしまったので、一度ちょっと落ち着いて見極めねばな…と思うようになった。
しつこいようですが、趣味の話をしています。(仕事にもそのまま適用できそうですが。)
わたしに限らず、おたくは「趣味の無茶苦茶スケジュールをなんとかしてしまった成功体験」を持ってる人が少なからずいるんじゃないだろうか。
これってわかりやすく言うと、やっぱり何かしらの脳内麻薬が出てる状態なんだと思う。
わたしの場合は、
「どうしてもどうしても、もう一度見たい!」「できる限り劇場に通いたい!」と心臓がバクバクするほど恋焦がれるような演目を前にすると、身の内から燃えたぎるマグマのごとく、エネルギーがふつふつと湧き出てきてしまう。
一度そうなると、絶対に掴み取る!という意志のもとに追加分のチケットをいつのまにかなんらかの手段で手元に手繰り寄せてしまうし、
その結果として脱げない赤い靴を履いたまま踊り続けるような気狂いじみた仕事+観劇のスケジュールをねじ伏せるように乗りこなしてしまうことが、往々にしてある。
…いやね、それはそうなんだけどね。そうはいってもですよ。
言ってみればそれは「ハレ」のエネルギーなわけで。
つまりわたしの日常はだいぶ「ハレ」に侵食されているんじゃないかな?とふと思ったのだ。
長いもので、観劇しないといきていけない!と思うようになってから、もう9年目になっていた。
その9年の間、コロナ禍によりそもそもの場と機会を奪われた2020年を除き、私の観劇ペースは流石に右肩上がりとまでは行かないが、「高止まり」を続けている状況にある。
しかもその中で好きなジャンルはどんどんと広がっていく一方なので、正直自分でもちょっと怖い。
更に、そうして観に行くだけならまだしも、わたしは「観劇後に感想をブログに書きたい」という抗いがたい欲求を謎に抱えてしまっているがために、
そこまで含めた"観劇"トータルのタスク量はかなり膨大なものになってしまう。
経験則としてわたしの場合、1万字弱の記事だとおおよそ完成までに最低5時間くらいは必要になる。
一稿目が書き上がるまでだいたい3時間、そこからあれこれと細かな推敲に2時間。
もうすこしライトに5000字くらいで終われる記事なら2.5時間くらいで更新までいけることもあるし、字数自体は大した量ではなくても、まとめるまでにものすごく時間がかかって、最終的に10時間くらい費やす記事もある。
そして文章を書くためには、上記のとおり当然時間が必要だけれど、同じくらい絶対に体力が必要です。
平日は毎日8時間仕事して、更にそこそこ頻繁に残業をし、掃除や洗濯その他の家事もやり、超適当かつたまに自炊もして、土日の片方は何か観劇に行って…みたいな生活の中で、数時間まとまって文章を書く時間を取るの、めちゃくちゃ難しいんですよね。いや、それはそう。どう考えてもそうに決まっている。。
数時間思考を巡らせて言語化をやり続けるって、ものすごくエネルギーを要する行為なので、
時間はあれどパソコンに向かう気力までは残ってない…みたいなことはよくある。
「感想を書きたい!けど疲れすぎてて今は書けない!」という状態になることがここのところ本当に多くて、こんなはずでは…!とひとりで焦ってしまっていた。
感想にも賞味期限があるからなるべく早めに出さないと新鮮さが失われていくし、
感想を取り出す前に更に新しい作品をインプットしてしまうと古い方の情報がうまく頭の中から出てこられなくなったりもする。そのあたりがシビアなので、思うように書けないと、かなり焦ってしまうのだった。
わたしにとっては、それくらいに「観劇する」という行為と「感想を書く」という行為がどうやらかなり不可分なものらしい…とここ最近で改めて実感したので、
もう割り切って書く体力までを見据えて観劇予定を立てるくらいでいいのかもしれない。と思うようになりました。
だいぶなんじゃそりゃ感があるし、人から見れば滑稽なのではとも思えるのですけど、書かずにはいられないなら、もうそうやって捉えて準備しておく方が自分も楽だなぁって。
「そんなに大変なら感想書くのやめればいいじゃん!」も方向性としては勿論あるんですけど、そうはならないようなので、であれば総量のコントロールを考えてもいいのかなと。
今週、現在進行形で自分に無茶スケジュールを強いてしまっているので、来年からはこの教訓を生かして色々と見直そう…と思いました。
ハレのエネルギー量に引っ張られたテンションでいろんなことを押し切るのが妙に得意すぎてここまで来てるけど、
もうちょっと落ち着いてもいいはず、と自分に言い聞かせる。
止まったら死んでしまう回遊魚型おたくであることはもう諦めて受け入れるとしても、せめて泳ぐスピードをもうすこし緩めるなりして、負荷を弱めていこう、
…というか回遊魚なだけでもう十分なので、赤い靴を履くのはやめましょうねと思った日記です。
(赤い靴履いてた回遊魚*1、そんなものがいたら怖すぎてとくに誰にも連れて行かれることはないんじゃなかろうか。足、どっから出てきたんや…)
*1:わかりにくいボケをしてすみませんでした(替え歌でボケた)